プレスリリース

働く人の口腔の健康と労働生産性の関連に着目 歯周病のある労働者では生産性が低い状態にある人の割合が高いことを確認 〜全国17,289人の大規模調査データを活用し、歯周病と労働生産性との関連を分析〜

リリース発行企業:第一三共ヘルスケア株式会社

情報提供:

 第一三共ヘルスケア株式会社(本社:東京都中央区、社長:内田高広、以下「当社」)は、東北大学大学院医学系研究科 公衆衛生学分野との共同研究により、歯周病のある労働者では歯周病のない労働者に比べて労働生産性が低い状態にあると評価された人の割合が高く、年齢や性別、職種などの影響を考慮しても、歯周病との間に関連がみられることを明らかにしました。
 これらの知見は、労働者の働きやすさや労働生産性を考えるうえで、口腔の健康に着目することの重要性を示唆するものです。
 本研究の成果は、本年10月29〜31日に開催された第85回日本公衆衛生学会総会にて発表しました。



 当社は、本研究を通じて、歯周病が口腔内の健康だけでなく、働く人のパフォーマンスとも関連する可能性を示しました。今後も、歯周病と健康との関係について研究を推進し、科学的知見の蓄積に努めてまいります。また、働く世代における歯周病予防の重要性や日常的な歯みがき習慣の啓発を通じて、適切な口腔ケアの実践を後押しし、QOL(生活の質)の向上に貢献してまいります。

1.研究の背景と目的

 近年、従業員の健康状態が企業の労働生産性に与える影響への関心が高まる中、歯周病や睡眠などの身近な健康課題が職場のパフォーマンスに及ぼす影響の解明が求められています。
 当社はこれまで、東北大学大学院医学系研究科 公衆衛生学分野と連携し、大規模生活者調査「JACSIS/JASTIS研究(*)」の調査データを活用して、睡眠、口腔ヘルス、疾病予防行動、生活習慣病などの健康指標と、喫煙や労働生産性などとの関連について研究を進めてきました。こうした取り組みの一環として、本研究では歯周病と労働生産性との関係に着目しました。
 歯周病は、歯を支える歯ぐきや骨などに炎症が生じる疾患であり、口腔内だけでなく、全身の健康状態にも影響を及ぼすことが広く報告されています。また、健康状態の悪化は労働生産性と密接に関連することから、歯周病が労働者の業務遂行に影響を与える可能性があります。しかし、歯周病と労働生産性との関連を調査した研究は少なく、先行研究では対象者数も限られていたことから、一貫した結論は得られていませんでした。
 そこで本研究では、全国の一般住民を対象とした大規模生活者調査データを用いて、労働者における歯周病の有無と労働生産性との関連を明らかにすることを目的としました。

2.研究概要および成果

 本研究では、2022年に全国の一般住民を対象として実施されたインターネット調査「日本におけるCOVID-19問題による社会・健康格差評価研究(JACSIS研究)」のデータを用いて、歯周病と労働生産性との関連を検討しました。
 解析対象は、全体の回答者32,000人のうち、不正回答者、非労働者および残存歯数が少ない人を除外した17,289人としました。なお、使用したデータはすべて対象者の自己申告に基づいています。

<方法>
 歯周病あり群となし群における労働生産性が低い状態にあると評価された人の割合を比較しました。一方で、労働生産性には、歯周病だけでなく、さまざまな要因が関係する可能性があります。そこで修正ポアソン回帰分析を行い、年齢、性別、学歴、職種、喫煙状況、主観的健康感および過去1年以内の予防的歯科検診受診の有無など、労働生産性に関係する可能性のある要因の影響を考慮したうえで、歯周病と労働生産性の関連を評価しました。
 また、歯周病と労働生産性との関連が、年齢や性別、職種などが異なる場合にも同様にみられるかを確認するため、それぞれの要因ごとに対象者を分けた層別解析を実施しました。

<研究成果(1)> 歯周病あり群では労働生産性が低い状態にあると評価された人の割合が有意に高いことを確認
 解析対象者17,289人について歯周病の有無別に比較した結果、労働生産性が低い状態にあると評価された人の割合は、歯周病あり群で30.4%、歯周病なし群で22.2%となり、歯周病あり群で有意に高いことが確認されました(p<0.001)。



  図 歯周病の有無による解析対象者の労働生産性が低い状態にあると評価された人の割合比較   

<研究成果(2)> 性別や年齢などの要因を考慮した後も歯周病と労働生産性との関連が認められた
 性別、年齢、職種、学歴、喫煙状況、主観的健康感および過去1年以内の予防的歯科検診の有無による影響を考慮して解析した結果、労働生産性が低い状態にあると評価された人の割合は、歯周病のない人に比べて、歯周病のある人で1.37倍(95%信頼区間1.28〜1.46)でした。

<研究成果(3)> 性別や年齢などの要因を考慮した後も歯周病と労働生産性との関連が認められた
 研究成果(2)で考慮した年齢や性別、職種などで対象者を分けて実施した探索的な層別解析においても、同じ方向の関連が見られました。労働生産性が低い状態にあると評価された人の割合はいずれの群でも、歯周病のない人に比べて歯周病のある人で高く、その比の範囲は1.24〜1.48でした(p<0.001)。

3.今後の展望

 本研究により、歯周病は、性別や年齢、職種などの労働生産性に関連する要因を考慮した後においても、労働生産性と関連することが明らかになりました。また、これらの要因ごとに対象者を分けた層別解析でも一貫した関連が認められ、年齢や性別などの背景情報が異なる人においても同様の傾向が確認されました。
 本研究は一時点における歯周病と労働生産性との関連を調べたものであり、因果関係を示すものではありませんが、全国の約1.7万人を対象とし、特定の職種に限定せず幅広い労働者について検討していることから、口腔の健康がすべての労働者の働きやすさや労働生産性を考えるうえで重要な要素の一つとなる可能性を示しています。
 今回得られた知見は、日常的な口腔セルフケアや予防的な歯科検診など、歯周病予防に取り組むことの重要性を改めて考える材料になると期待されます。当社は今後も、睡眠や口腔ヘルスなど生活者に身近な健康課題について、科学的根拠に基づく研究を推進し、その成果を分かりやすい形で社会に還元することで、生活者のセルフケアおよびQOL(生活の質)の向上に貢献してまいります。

<ご参考>
1. 第一三共ヘルスケアについて
 第一三共ヘルスケアは、OTC医薬品領域におけるリーディングカンパニーとしての強みを基盤に、機能性スキンケア・オーラルケア・食品分野へと事業領域を拡大し、生活者の健やかな人生に寄り添うトータルヘルスケア企業として成長を続けています。
 私たちの理念を体現するコーポレートスローガン「Fit for You ひとりひとりの健やかな人生のライフパートナー」を掲げ、誰もが安心してセルフケア・セルフメディケーションに取り組める社会の実現に貢献してまいります。
2. 東北大学大学院 医学系研究科 公衆衛生学分野について
 東北大学大学院 医学系研究科 公衆衛生学分野は、がんや循環器疾患を中心とする生活習慣病の成因解明とその予防、高齢者の健康増進と疾病(障害)予防、そして健康寿命の延伸を目指して、様々な研究に挑戦している研究室です。
 地域住民を対象とする複数の前向きコホート研究を行い、多様な研究成果を上げています。本共同研究担当の田淵貴大氏は、2020年より毎年日本全国の18〜79歳の男女、一般住民約3万人を対象としたインターネット調査プロジェクト「JACSIS/JASTIS研究」を主導しています。


※ 歯周病とは歯肉炎・歯周炎の総称です。
※ 労働機能障害があると評価された人を労働生産性が低い状態にあると評価された人と定義しています。なお、「労働機能障害」とは何らかの症状を抱えているために集中力や判断力が低下し、本来持っている業務遂行能力や生産性が低下している状態を指します。経済産業省発行「企業の健康経営ガイドブック」に掲載の測定ツールを用いて評価することができます。
* JACSIS/JASTIS研究(Japan COVID-19 and Society Internet Survey / Japan Society and new Tobacco Internet Survey;東北大学大学院医学系研究科倫理委員会にて承認が得られている:整理番号=2024-1-1035)は、東北大学大学院医学系研究科の田淵貴大氏が研究代表者を務める18〜79歳を主とした日本全国の一般住民の男女約3万人を対象とした新型コロナ問題や新型タバコ問題、社会生活全般や健康などに注目したインターネット調査プロジェクトです。2020年より毎年調査が実施されています。(JACSIS:https://jacsis-study.jp JASTIS:https://jastis-study.jp)

<リリース原文(PDF)>
https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/content/000142869.pdf

赤坂経済新聞VOTE

今日は赤坂でランチ!何が食べたい?