プレスリリース

医療の「職場」に変化を ー 2Co HOUSE(世田谷記念病院)の取り組みが「2026年度グッドデザイン賞」を受賞

リリース発行企業:医療法人平成博愛会 世田谷記念病院

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東京都世田谷区にある回復期リハビリテーション病院 世田谷記念病院は、2024年に「職員一人ひとりが自分らしく休憩できる場所」として「2Co HOUSE(ニコハウス)」を建設しました。この2Co HOUSEの取り組みが、2026年度のグッドデザイン賞を受賞。これまで十分に意識されてこなかった「ケアを担う人々が心身を整える場所」という新たな視点からの提案と、緊張や規律の多い医療現場とは異なる時間を生む「居場所を自ら選べるような工夫」が、高く評価されました。完成から2年、職員の休憩の質が向上したことにより、職員から自身の専門性を生かした自由な発想が生まれ、退院患者とその家族を招いた嚥下カフェの開催など、医療者による主体的な活動が地域に還元されています。
審査委員による評価コメント
患者にとってよりよい医療環境が追求される一方、日々ケアを担う人々が緊張から離れ、心身を整える場所は、これまで十分に意識されてこなかった。本提案は、病院に隣接しながら別棟とすることで、行き来のしやすさを保ちつつ、医療現場から物理的にも心理的にも一歩離れられる場をつくっている。多様な家具や居場所を自ら選べることも、緊張や規律の多い医療現場とは異なる時間を生み出している。さらに、この場所を通して職種を越えた活動や、患者や家族、地域との新たな関係が生まれている点も興味深い。



病院からわずか5メートルの場所に位置する2Co HOUSE。「心休まる」場所として、病院から一歩離れた場所に存在する、その距離感が重要。

2Co HOUSE 2階フロアの平面図。開放的なスペースとプライベートな空間がゆるやかに分かれる設計で、各々、居心地の良い場所を自由に選んで休息できる。

医療者が「鎧」を脱げる空間を
8.57平米の狭小休憩室から、
451.08平米の広々とした憩いの場を確保

医療施設は、患者病室等の設備に事細かな基準が設けられ、その敷地のほとんどが診療のための場所としてあてられます。そのため、職員のためだけに設けられるスペースはほんのわずかで、職員数に比較すると圧倒的に不足している状態が一般的で、これまであまり問題視されてきませんでした。当院でも、およそ400人の職員を抱える中で、以前までは収容人数わずか6名の休憩室が3室のみという状況で、多くの職員が、執務中の同僚や患者さんが至近距離にいる業務エリアで休憩をとることを余儀なくされていました。


病棟休憩室(8.57平米/室、収容人数6名、院内に3室)

2Co HOUSEの2階フロア(451.08平米)


世田谷記念病院の理事長武久敬洋は、医療者が命を扱う仕事の怖さと向き合い緊張状態にあることを“鎧を纏う”と表現します。そして、この重い鎧が長い間脱げないままでは、医療者の心身にこそ「余白」がなく、疲弊してしまうことを懸念していました。さらにコロナ禍以降は、医療業界でも業務以外の交流機会が激減する中で、専門職ごとに異なる鎧を纏ったままの「仕事上のコミュニケーション」以外が排除されることは、職種間のヒエラルキーを助長し、多職種の連携に支障をきたすといったリスクも心配されます。

そのため、2Co HOUSEは、「医療者が“鎧”を脱ぎ、職員同士が人と人としてつながるための場所」として誕生しました。 
多疾患併存状態の高齢患者さんが多い当院では、多種多様な職種が連携しそれぞれの専門性を生かしたチーム医療が必要不可欠です。当院は、職員が心身の休息をとるとともに「人と人としてつながる」場への投資として、病院に隣接する土地に職員のための「休憩室」を含む施設を建設しました。これは、職員の福利厚生として以上に、質の高いチーム医療を育むためのことさら重要な環境整備となっています。


開放的な大窓から明るい日差しが入り、自然と対話が弾む。

半個室エリアは開放的でありながらリラックスできる空間。


カルテ用PC端末や職員で持ち寄った推薦図書がならぶライブラリ。現場から一歩離れることで、より客観的に業務を振り返ることもできる。

個室ブースでは、時おり仮眠をとるスタッフも。


2Co HOUSEとは
現場の医療者のアイディアで 既存の枠組みにとらわれないケアを地域へ
2Co HOUSEで嚥下カフェ(2Co Cafe)を限定オープン!

「職員の休憩室」として生まれた2Co HOUSEは、いま、「医療者の主体的な想いを地域へつなげる拠点」へと変貌を遂げつつあります。
なかでも、2026年5月21日に実施した「2Co Cafe」は、退院患者さんとその家族を対象とした嚥下スイーツカフェです。これは、嚥下障害が残る状態で退院した患者さんが、自分だけメニューが違うことから、家族と一緒に食卓を囲んだり外食を楽しんだりできないことを知った職員が「それなら飲み込みに配慮しながらも、どんな人(健康な人)でもおいしく食べられる、おしゃれな嚥下スイーツを提供するカフェを私たちがやってみよう」と想い、在宅栄養指導サービスも提供する当院の管理栄養士ならではの発想から生まれました。



2Co Cafeにて「とろけるりんごのキャラメリゼ〜バニラアイス添え〜」を提供。「溶けないアイス」で飲み込みに時間がかかっても気にせず、最後までおいしく食べられる。

このほかにも、地元企業や地域の団体と協力し、ラジオ放送の公開収録やフリースクールの子どもたち対象のワークショップ、介護福祉事業者との交流会の開催など、さまざまな形で2Co HOUSEに地域の方が訪れるようになってきています。

「2Co Cafe」詳細へ

「ケアする人もケアする」をあたりまえに
医療者の「じぶんらしく」を実現できる職場になる




医療施設における労働環境の未整備は、私たちの生活に密接に影響する大きな課題です。
コロナ禍で浮き彫りになったように、今なお、多くの医療の現場が、医療者自身が自らの心身を削るような犠牲のもとで成り立っています。しかし、疲弊しきった医療者から施される行為は、果たして患者にとっても「最良の医療」と言えるのでしょうか。

高齢化社会の今、特に高齢者の多い当院の患者さんが抱える問題は実に様々で、かつ病気の治療だけではなく生活にかかわるあらゆる問題が医療上の問題と複雑に絡みあっています。
こうした患者さん一人一人をとりまく環境や条件まで配慮して、患者さんの「生活の質」を自分ごとのように大切に捉え、必要なケアを提供するー 
「患者さんに寄り添える、こころとからだの余白」を持つことができる「職場」であることが、医療者が自分で考え実践する「理想のケア」を生みます。

2Co HOUSEが実現するのは、医療者が「じぶんらしく働けること」が、患者さんの「じぶんらしく生きること」につながるという医療の未来です。この未来への歩みが、今回の2026年度グッドデザイン賞の受賞につながりました。

2026年度グッドデザイン賞 エントリー概要
「職員を中心とした病院併設の休憩・交流施設[2Co HOUSE(ニコハウス)]
審査ユニット:20 取り組み・活動・メソッド
プロデューサー:平成医療福祉グループ 代表 武久敬洋
ディレクター:医療法人平成博愛会世田谷記念病院 事務長 手老航一
デザイナー:株式会社松田健嗣建築設計事務所



平成医療福祉グループは、東京や大阪、徳島をはじめ全国に100を超える病院・介護施設・福祉施設などを運営しています。「じぶんを生きる を みんなのものに」をミッションに、一人ひとりの「じぶんを生きる」を支える医療福祉の提供を行っています。

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