国立劇場に併設する「国立劇場伝統芸能情報館」(千代田区隼町、TEL 03-3265-7061)が現在、企画展示「国立劇場所蔵 上方浮世絵展」を開催している。
前期と後期に分けて開催する同展。国立劇場が所蔵する主に「大坂」や京都で制作された上方浮世絵から、役者絵や芸能に取材したおもちゃ絵、落語家が作詞した流行唄(はやりうた)の一枚摺(いちまいずり)、錦絵新聞などの特色のある作品100点を展示する。作品の中には他に所蔵が確認できない珍しい浮世絵や初公開の作品なども展示しているという。「上方」は、江戸時代に京都およびその周辺を指した呼び名。
会場では、5つの章に分けて展示を行う。前期では第一章の「濃いめ!上方の役者絵」で、浮世絵師・中村芳滝の「中村宗十郎の毛谷村(けやむら)六助、四代目嵐璃寛(りかん)のおその」、第四章の「カタチでたどる」では、歌川広兼の「二代目片岡我童の口上」を限定公開。後期でも、第五章の「歌舞伎の文明開化」で、二代目長谷川貞信の「初代市川右団次の夢想兵衛、初代市川右団次のおたか、四代目中村駒之助の通弁、二代目尾上多賀之丞の菊女」などを公開する。
2023年2月10日は、同館3階のレクチャー室で「第86回伝統芸能講座・国立劇場所蔵上方浮世絵の特色とその魅力」を開く。講師は甲南女子大学非常勤講師の北川博子さんが担当する。参加費は1,000円。募集人数は100人で、定員になり次第終了。
同劇場調査養成部調査資料課図書・資料係の中澤麻衣さんは「浮世絵は江戸で作られたものという印象があるかもしれないが、大坂をはじめとする上方でも魅力的な浮世絵が制作されていた。本展では、粋ですっきりとした江戸の浮世絵とは異なる、色鮮やかでまったりとした上方浮世絵を紹介する」と話す。
会期は、前期=2023年1月28日まで、後期=2月4日~4月9日まで。展示時間は10時~18時。休室日は、12月29日~1月2日、1月29日~2月3日。入場無料。