プレスリリース

官・民が連携し賑わいをまちに発信する芸術文化交流拠点【富山オーバード・ホール/中ホール】

リリース発行企業:株式会社久米設計

情報提供:




富山県建築文化賞とは
https://toyama-kenchikushikai.or.jp/?cat=9
■目的
富山県内の優れた建築作品及び建築生産に係る功労に対してその功績を讃えることにより、地域の建築文化の振興に寄与することを目的としている。

【設計者コメント】
1996年に誕生した富山市芸術文化ホール(オーバード・ホール)の隣接地に、中ホール(652席)と民間付帯事業を一体的に開発する整備計画です。もともと大ホールは幅広く利用されていましたが、市民利用や演劇利用等に適した少人数のホールが望まれていました。
富山駅北口エリアには、富山県美術館、環水公園、体育館などの魅力的な公共空間が点在しており、駅との中間地点にある計画地は、街をつなげる重要なハブに位置付けられると考えました。またこのPFI事業は、市の敷地に中ホール建設と余剰地の買取りを行い、まちの活性化に資する事業を行うという条件であり、私達はホールと民間施設を建設し、有効に敷地を分割し、まちの賑わい、回遊性を生み出すことを重要なテーマとしました。
中ホールは2023年3月に竣工しましたが、民間施設が2024年3月竣工となり、商業施設を含め全体のオープンは2024年7月となりました。今回の富山県建築文化賞はホールを対象として応募し、優秀賞の受賞にあたっては「景観・全体構成・空間演出・建築技術等すべてにおいて高いレベルの公共建築」と評価して頂きました。これも様々な方々とのすばらしい協働によるものであり、関係者の皆様には改めて深く感謝申し上げます。

【建築概要】
名称:富山オーバード・ホール/中ホール
所在地:富山県富山市牛島町109-4
建築主:富山県富山市
設計者:久米設計・押田建築設計・空間創造研究所JV
デザインパートナー:隈研吾建築都市設計事務所
施工者:
(建築)佐藤工業・スター総合建設共同企業体
(空調・排水)新菱冷熱工業株式会社
(電気)日本電設工業株式会社
延床面積:6,840.63平方メートル
階数:地上4階地下1階
構造:RC造一部SRC造、S造
竣工:2023年3月
受賞:富山県建築文化賞優秀賞

【設計コンセプト】
まちをつなぐ原動力となる”キャニオンストリート”
私たちの提案は中ホール(官)と民間付帯事業(民)の間に幅12×100m程の公共的なストリート空間(キャニオンストリート)を民間付帯事業にて整備し、官民が連携した新しい公共空間のつくり方を提案した。これにより駅から環水公園までの回遊性を向上させ、まちに賑わいを創出することを目指した。キャニオンストリートと敷地の分割を北側道路に合わせた斜めの軸に設定することで、より自然な回遊性の創出に寄与している。キャニオンストリートには双方の活動や賑わいが顔を出すつくりとした上に、積極的に内外が一体で利用できるような施設の設えとし、単なるストリート空間でなく、地域の広場として多様なイベントや日常利用が可能なまちの拠り所としての場づくりを行った。

キャニオンストリート。官(左:中ホール)・民(右:民間付帯事業)で挟まれた新しい公共空間のカタチ


キャニオンストリートを利用した野外イベント

屋根が市民の活動を包み込み、賑わいが回遊性を生む
ファサードデザインは駅北口エリアの回遊性をつくる賑わいを生むことをテーマとした。また市民の文化活動の場として、市民の居場所としての地域の広場となるファサードのあり方、駅前通りであるブールバールからの見え方について検討し、また大ホールと運営団体が同じことから使い勝手にも配慮した。そのため利用者の活動が溢れるキャニオンストリート側に賑わいをつくり、大ホール側は機能性重視とした為、南側の壁が上部で折れ曲がり屋根となるような、市民の活動の場を屋根が大きく包みこむファサードとした。東・北・西の3方には活動室が顔を出す賑わいのあるファサードをつくり、回遊性に寄与するものとした。

キャニオンストリート外観夜景。壁面(木調パネル,バナー)と開口部をリズミカルに配置したデザインにより,賑わいと文化活動・情報を発信する


ファサード近景。内部の活動が垣間見え、まちに賑わいを生む


キャニオンストリート西側。各コーナーに出入口を設け、気軽に入れるつくり。中ホールと民間施設の賑わいがストリートへ溢れだし相乗効果を生む

さまざまな文化や出会い,日常的な賑わいを生み出す施設づくり
中ホールの共用部をつくるにあたっては日常的に開かれ市民の文化活動が活性化されると同時に、地域の広場となり街に賑わいを生み出す施設を目指した。東西南北 のあらゆる方向からアクセスできるよう各所に出入口を設け、誰もが気軽に訪れることのできる開かれた施設とした。また2層吹抜のワンルームの内部空間には、東・北・西面に多く設けた開口部やトップライトからの自然光が溢れる開放的な空間とすることを目指した。その空間の各所にはテーブルと椅子を配置し市民の居場所を確保した。また楽屋、練習室等の各諸室は大きなガラス壁でロビーに開放的なつくりとし、「見る/見られる」の関係により文化活動が活性化することを意図した。加えて文化活動が見えることで施設の賑わいが増すとともに、見ることを楽しみに集う人々が増え、施設の集客性も高まると考えた。

1階メインロビーより,北側キャニオンストリートをみる。外部のストリートに沿って内部の共用空間が連続していき,奥へ人を誘っていく


1階楽屋中前ロビー。斜めの軸に雁行配置した諸室により生まれた共用空間に,テーブルと椅子を配置し多様な居場所をつくっている


2階ロビーより,EV・練習室を見る。練習室とロビーの「見る/ 見られる」関係をつくり,新たな文化活動のきっかけを起こす

舞台と客席の一体感を生み出す多層客席の中ホールを実現
市民利用と演劇に主軸を置いたブラックボックス型の中ホールを整備することで、大ホールと連携し、さらに多様な芸術文化に親しむ機会を提供することを目的として計画された。私たちは芝居小屋特有の演者のリアルな息使いや緊張感が客席へ伝わり、観客の熱気に演者が包まれるような圧倒的な一体感のあるホールがつくれないか考えた。本施設は652席でありながら三層のサイドバルコニーで構成した多層客席としており、全国に類がない個性あるホールとなっている。段床型の客席はワゴン客席と移動観覧席を採用により平土間化でき、固定ブリッジと道具バトンを客席まで設けることで、自由に舞台位置が設定可能となり、様々な利用要望に対応可能なホールとなっている。また平土間利用時、客席後部の移動間仕切りを開く事でホワイエと一体利用可能となり、更に建物ファサードを開く事でキャニオンストリートとの一体利用も可能となる。

ホール舞台より客席を見る。三層のサイドバルコニー形式により,他にはない圧倒的な演者と観客の一体感を生む


ホール平土間利用時。 客席後方のスライディングウォールを開くことで、ロビーと一体となった大きな広場として利用が可能


【会社概要】
株式会社久米設計
「豊かさ」を拓く。私たちは「豊かさ」とは何かを真剣に考える多様な個性の集合体です。地域・人を大切に、未来を見据えた新たな価値を創造していきます。
1932年の創設以来、数多くの都市、建築の設計を手掛けてきました。技術とデザインの融合を追求し、人と社会への貢献を目指す企業です。本社を東京都江東区潮見に構え、社員数約650名(約450名の資格を有する専門家)を擁し、国内外の幅広いプロジェクトに取り組んでおります。持続可能な社会の実現へ、技術とデザインで貢献してまいります。

URL:https://www.kumesekkei.co.jp/
所在地:東京都江東区潮見2-1-22
代表取締役社長 藤澤進

【久米設計Instagram】
https://www.instagram.com/kumesekkei/

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