上智大学(千代田区)で10月30日、上智大学創立100周年記念第1回コンサート「杉谷昭子ピアノ・リサイタル」が行われた。
2013年に創立100周年を迎える同大学は、上智短期大学、上智社会福祉専門学校とともに、記念年へ向けさまざまな行事を予定。今回は「ベルリン交響楽団」「ロンドン新交響楽団」ほか数々の有名交響楽団と共演し、国際ピアノコンクールの審査員をするなど世界的に活躍しているピアニストの杉谷昭子さんを招いた。
J.S.バッハ「主よ、人の望みの喜びよ」を皮切りに、ショパン「子犬のワルツ」「革命」などを演奏。5曲目に披露したベートーベン「熱情」では、会場が緊迫するほどの迫力に大きな拍手が起こった。
さらに注目を集めていたのが、今回使用した全長3メートル8センチ、重量690キロの世界最大のピアノ「F308」(ファツィオリ)。イタリアのピアノメーカーが製作し、生産台数が少ないため「幻のピアノ」とも呼ばれている。有名ピアニストのみが購入できるともいわれる貴重な代物で、ジャズピアニストのハービー・ハンコックも愛用者の一人。高低音が均質で美しく、柔らかみのある音質が特徴といわれている。
上智大学教授で国際交流担当理事のジャン=クロード・オロリッシュ神父は、当日に接近していた台風を受けて、「会場を音楽の力で、外とは違う晴れた天気のようにしてくれるでしょう」とあいさつ。杉谷さんの好意で収益はすべて同大学へ寄付され、アジアの国々から来日する学生のため、奨学金として使うと話した。