「2019年本屋大賞」の発表会が4月9日、明治記念館(港区元赤坂2)で開催され、大賞受賞作に瀬尾まいこさんの『そして、バトンは渡された』(文藝春秋)が選ばれた。
昨年の受賞者の辻村深月さん(右)から花束を受け取る瀬尾まいこさん
同賞は「全国書店員が選んだいちばん!売りたい本」をキャッチコピーに、出版業界の活性化を目的とし、年に一度全国の書店員の投票によって選出される文学賞。今年で16回目を迎え、昨年は辻村深月さんの『かがみの孤城』が受賞した。
瀬尾さんは、1974年生まれ、大阪府出身の小説家。2001年に『卵の緒』で「第7回坊っちゃん文学賞大賞」を受賞し、2005年には『幸福な食卓』で「第26回吉川英治文学新人賞」に選ばれた。2008年には『戸村飯店 青春100連発』で「坪田譲治文学賞」も受賞している。
今回の大賞作品である『そして、バトンは渡された』は昨年、「第31回山本周五郎賞」候補作品にも選ばれていた。17年間で親が7度、名字が4度も変わりながらも愛され続ける少女を描いた作品。受賞について瀬尾さんは「小説を書いたのは1年以上前なので、喜びはじわじわ、じっくりと感じるものだと思っていたが、(自分が立っている)舞台まで走ってゴールテープを切って、すぐさまトロフィーを渡してくれたような、鮮やかではっきりとした喜びが今ここにある」と語った。
大賞以下の順位は、2位が小野寺史宜さんの『ひと』(祥伝社)、3位が深緑野分さんの『ベルリンは晴れているか』(筑摩書房)となった。当日は翻訳小説部門も発表され、アンソニー・ホロヴィッツさん(山田蘭訳)の『カササギ殺人事件』(東京創元社)が1位に選ばれた。