赤坂の選書専門店「双子のライオン堂書店」(港区赤坂6)が4月11日、オープンから半年を迎える。
2003年にインターネット古書店として創業した同店。2013年に新刊・古書店として文京区白山に実店舗を開店、昨年10月に赤坂へ移転した。
小説家やさまざまな分野の専門家、ライターなど、本好きが選書した「自分の血と肉になった本」を販売する。選者には小説家・辻原登さん、批評家・山城むつみさん、俳人・長谷川櫂さん、思想家・東浩紀さん、ミシマ社代表・三島邦弘さんなどが名を連ねる。
店主の竹田信弥さんは、大学で文芸を志すも、卒業後はベンチャー企業へ就職。一度転職をするも本への思いが断ち切れず、高校時代に始めた双子のライオン堂を本業にしたいと独立。現在は、午前中に複数のアルバイトしながら、店を1人で切り盛りしている。
店舗面積は、書店約5坪、ギャラリー約6坪。「本好きが快適に本と触れ合える、第二の家のような場所を目指した」という店内は土足禁止で、木を使った内装や本棚など、ぬくもりが感じられる店舗に仕上げた。店舗入り口の扉は、本の形になっており、来店客は「本の表紙をめくり、本の中に入るイメージ」で入店する。
コンセプトは、「ほんとの出合い」「100年残る本と本屋」。一つの本屋の中にいろいろな本屋を集めようと企画した「百書店」や、オフィスなどへの本棚貸し出しサービス「双子のライオン堂サテライト」、本屋になりたい・本屋の現状を知りたい・本に関することしたいという人たちに向けて現状分析から実践を行うゼミナール「本屋入門~あしたから本屋さん~」、その人の本棚やアンケートから、店の本棚の中からその人におすすめ本を送る「ブックマッチングサービス」(一時休止中)などを展開する。
「衰退産業と言われる出版業界。小さな本屋が無くなり、大型書店だけが残るのは本好きとしてはつまらない。どうやったら生き残れるか、『本』とそれに関わるものの未来のためなら、どんなことでも意欲的に挑戦する」と竹田さん。
現在、作家を招いての読書会や、ボードゲームでのアナログゲーム企画、ギャラリー兼イベントスペースでのイベントなども開いている。「客層は、近所の人たちや、白山時代からの常連客、周辺で働くビジネスマンなどが多く、閉店までずっとしゃべったり、持ち込んだ食事を食べたりなど、くつろいでいただいている」とも。
「仕事帰りにふらっと寄っていただいて、ほっと一息つける場所になれれば。本屋は別に必ず本を買わなくても良い場所。のぞきに来て本を見つつ、明日への活力にしてもらいたい。店主も暇なので、しゃべりに来ていただければ」と来店を呼び掛ける。
営業時間は15時~21時。月曜・火曜定休。日曜不定期営業。