段ボールの子犬キャラ「ハコイヌ」が人気-子どもに「物を大切にする心」説く

「ハコイヌ」の生みの親である佐藤英明さん

「ハコイヌ」の生みの親である佐藤英明さん

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 赤坂のデザイン会社「シュガー」(港区赤坂8)が企画・制作を手掛けるキャラクター「ハコイヌ」が人気を集めている。

「ハコイヌ」を会社の前に飾っていたら、小学生が毎日見に来るように

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 読売ジャイアンツの「ジャビット」、ネスレ日本の「エアロちゃん」など企業キャラクターの制作を数多く手掛ける同社。「ハコイヌ」は同社のオリジナルキャラクターとして2002年に社長の佐藤英明(えいめい)さんが生み出した。

 ペットを飼えない団地住まいの男の子が段ボールで作ったという設定の「ハコイヌ」。引っ越しの際に離れ離れになった男の子を探す子犬型のキャラクターだ。段ボール箱を2つ重ねただけの体だが、頭には2人の思い出や愛情が詰まっているので倒れないのだという。着想の原点には、佐藤さん自身の幼少期が反映されている。

 団地で育ったという佐藤さんは「私も犬を飼いたかったのに禁止されていた。50歳という節目を迎えた2002年、ものづくりの楽しさを知った自分があのころに戻れるならどうするだろうかと考えた。そこで、ゴミとして捨てられる段ボール箱を再利用して子犬を作り出すことを思いついた」と振り返る。

 当初は商品化を考えていなかったという佐藤さんだが、地元・赤坂小学校の生徒たちから予想外の好評となり、商品展開を決めたという。

 「会社の入り口に『ハコイヌ』のマスコットを飾っていたら、通学する児童たちが毎日見に来ていくれるようになった。これは子どもたちの心に響くキャラクターだと確信した」と佐藤さん。

 定期的に国内各地で展覧会を開いてきたほか、8月に香港で開催された「国際こども映画祭」では映像作品も上映された。現在は世代を超えた人気を博し、ビジュアルブックや映像作品など30~40種類の関連グッズが販売されている。

 人気の理由について、佐藤さんは「『ハコイヌ』は単なるキャラクターとしてではなく、その背景にある『物を大切にするココロ』の重要さを説くストーリーが共感を呼んでいるのだと思う」と話す。

 段ボールはリサイクル率100%の「エコ素材」であることから、「ハコイヌ」は環境省の「21世紀子ども放課後環境教育プロジェクト」のイメージキャラクターとしても採用されている。「今はテレビゲームなどおもちゃがすぐに手に入る時代。『ハコイヌ』と一緒に子どもたちの持つ豊かな想像力や自然を大切にする心を育んでいきたい」と佐藤さん。

 「ハコイヌ」は昨年、震災に遭った子どもたちに全国から贈られた絵本を届けるNPO活動にも参加。子どもたちの喜ぶ顔をもっと見たいと願った佐藤さんは現在、「ハコイヌ」の新作絵本を制作中だ。

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