上智大学(千代田区紀尾井町)は2013年に創立100周年を迎えるにあたり、記念事業の一環として経営者を対象とした公開講座「エグゼクティブ・ビジネス・アカデミー講座」を来春に開講する。12月1日より受講生の募集を開始した。
同大学はこれまでも語学をメーンに一般人向けに公開講座を展開してきたが、ビジネスマンなどからビジネス向きの講座の開講を期待する声があったことから、創立100周年事業の一環として経営者向けの公開講座を開講することを決定。講義にインタラクティブ性を出すために、議論ができる知識があり、アカデミックな知識に対してハングリーな経営者を対象にする。
対象を経営者に絞った講座にしたのは企業とのつながりを強める狙いも。同大学はこれまで他の大学に比べ企業とのつながりが弱かったため、同講座を設けることで産学連携を強化。企業との交流を増やすことで企業の現場での経験をもとに、ケーススタディー研究強化にもつなげる狙い。「先生たちにとっても刺激になり、学生たちにもより充実した内容を教えられるようになる」と総合プロデューサーで同大学経済学部教授の荒木勉さん。
講義は、各業界の代表的な経営者がスピーカーを務める講座と、同大学の教授が講義を行う講座を交互に行い、3カ月間で計10日間にわたり講座を開く。経営者が行う講義では、経営者による講義=90分、同大学の教授による理論を中心とした説明=30分、質疑応答=60分で構成する。教授が行う講義でも、教授の90分の講義のち30分の質意応答を設ける。講義を行う分野も経営戦略、金融、会計、組織文化、商法、マーケティングなど多岐にわたる。
スピーカーを務める経営者には、イオンの岡田元也社長、カルビーの松尾雅彦相談役、クレディ・スイス証券の松島正之会長、旭テックの入交昭一郎会長(元ホンダ副社長)、フジマキ・ジャパンの藤巻幸夫副社長、野村総合研究所の藤野直明SCMコンサルティング室長が登場する。学生を刺激する目的で、岡田社長の講座は学生を対象にオープン講座にする予定。
募集人数は、20人程度。自由かったつに議論してもらうために少人数にした。ある程度の立場の受講者でないと、企業のノウハウや企業の問題点など本音が話せないことも踏まえ、役員や幹部などのエグゼクティブを対象にする。受講生同士で情報交換するなど、ギブアンドテークが成り立つように素性の審査なども行う。「そうした場を提供するのも大学の役目。四谷や赤坂には優良企業も多く、そうした企業の人に受講してもらい、地域活性化にも貢献したい」と荒木さん。
同講座は2013年まで5年間にわたり、春・秋の年2回、計10回行っていく予定。「次回からは、上智の強みを生かし外資系の企業のスピーカーや女性経営者のスピーカーも招きたい。MBA設立を目標に講座を行っていく」(荒木さん)。
受講料は50万円。応募締切は来年3月6日。