港区赤坂地区総合支所(港区赤坂4)の地区政策課が赤坂円通寺公園(港区赤坂5)に設置する旧町名由来板が3月7日、完成した。
港区内には、歴史や文学、歌舞伎などに登場する古い町の名前が数多くあり、現在でも各町会や交差点の名称として残っている。そうした旧町名を保存し後世に伝えていきたいという区民の声が多かったことから、約50年前当時の地図と町名を掲示する「旧町名由来板」を区内各所に設置する事業を展開。総合支所のある赤坂地区、芝地区、麻布地区、高輪地区、芝浦港南地区の5つの地区ごとに旧町名由来板の設置を進めている。
赤坂地区は赤坂、元赤坂、北青山、南青山の地域を担当。1957(昭和32)年当時に同地域にあった22の旧町名すべてを紹介することを目標としている。
今回完成した旧町名由来板は2007年度に檜町(ひのきちょう)公園に設置した「赤坂檜町」を紹介する由来板、氷川公園に設置した「赤坂福吉町」「赤坂中ノ町」「赤坂氷川町」を紹介する由来板に続く3つ目の由来板で、「赤坂一ツ木町」「赤坂丹後町」について紹介する。円通寺公園周辺は当時「赤坂一ツ木町」と呼ばれ、1567年に武州豊島群貝塚領人継原が人継村(ひとつぎむら)として開発されたことに由来。隣接していた「赤坂丹後町」は、町内の丹後坂という坂に由来しており、江戸時代にその坂の東北側に米倉丹後守の屋敷があったことから「丹後坂」と呼ばれるようになったという。
旧町名由来板の設置は赤坂地区の区民参画組織であるタウンミーティング「文化・歴史振興事業」分科会の活動として取り組んでおり、2008年度は赤坂地域の区民9人、青山地域の区民3人の計13人が参画。同分科会のメンバーが由来板のデザイン・色・材質など細部にわたり検討を重ね完成に至った。同由来板は桜のイラストをあしらったデザインになっており、同地域の歴史を紹介するとともに、1956(昭和31)年当時の地図と現在の地図を掲示し、見比べられるようにした。
赤坂地区では、他の地域でも由来板の設置を進めており、今月中には表参道交差点付近に「赤坂青山北町」の由来板と、赤坂榎坂町緑地に「赤坂榎坂町」「赤坂霊南坂町」の由来板が完成する予定。2009年度には、「赤坂青山南町」の由来板を設置する予定で、他の旧町名由来板の設置も検討している。
赤坂地区総合支所の地域政策課の担当者は「由来板を通して、赤坂青山地域に住む人、通勤や通学している人、観光で訪れる人や外国人の方など多くの人に、この地域の歴史や文化に触れていただきたい」と話す。