TBS放送センター(港区赤坂5)の低層階屋上でミツバチを通年飼育するプロジェクト「みつばちあ~赤坂Bee Townプロジェクト」が4月で5周年を迎えた。
TBSと赤坂・青山エリアの企業や商店街、NPOや住民が協力してミツバチを飼育する同企画。プロジェクト名は「みつばち」と「チア(元気にする)」の2語を掛け合わせ名付けられている。
ミツバチの飼育を通して赤坂の街の環境保全や子どもたちの環境学習に取り組むと同時に、地元商店街と協力した製品開発などで、地域の活性化や赤坂の話題作りも行っている。また、昨年から港区教育委員会の推薦授業となり、赤坂小学校では「ミツバチの好きな花」を生徒が調べてGW前後から植えているという。
プロジェクトでは、地元住民のボランティアの協力の下、およそ10万匹のミツバチを通年飼育している。蜂蜜の採集量は、初年度はおよそ90キロだったが、昨年度には約150キロまで増加。ミツバチが花粉を運び木々や草花などに受粉することで多くの植物に実がなり、都会に自然が増えていくという。赤坂はミツバチの外敵も少なく、古くからの住宅地、社寺、公園に加えて新たな再開発プロジェクトによる緑化などで、ミツバチにとって住みやすい環境が整いつつあるという。
4月28日に行われた「ミツバチスタート会議」では、テイスティングや、遠心分離機による蜂蜜採集の実演、環境教育についての説明、成果発表などが行われた。テイスティングが行われた蜂蜜は、赤坂の地域の桜の花からミツバチが集めた蜂蜜や、赤坂の住宅地などで育つ夏みかん、キンカン、レモンなどかんきつの蜂蜜。
巣箱見学会ではそのほか、赤坂産の蜂蜜で作られたスイーツなどの試食会も実施。赤坂のバー「カーペディアム」「メビウス」による蜂蜜入り生ビールや、赤坂の老舗和菓子店「赤坂青野」が試作した蜂蜜ようかん、ベルギー料理店「シェ・ミカワ」の蜂蜜ケーキ、老舗和菓子店「赤坂松月」の「艶干錦玉」、老舗菓子店「鳳庵果樹園のしずく」の「バターどら焼き」、「茶懐石寿司の有職」による「茶巾寿司」などが振る舞われた。
同プロジェクトを考案したTBS・CSR推進部担当者は「TBS中心にボランティアの人たちと、実際に育てながらいろいろ学び5年目となった。女王蜂の性格によって巣箱の個性の違いがあったりなど、飼育しないと知ることができないことがたくさんあった。ミツバチの論文だけでも山ほどあったりと、まだまだ知らないミツバチの世界あるのだろう」と話す。
「今の子どもは、パソコンを使うことでスズメバチとミツバチの違いをよく知っていたりするが、実際には見たことが無い子どもが多い。環境学習を通じて、パソコンの画面からでは感じられない感性が育まれたりするなど、都会の子どもには大事な経験になっているのでは」とも。