
「左手のピアニスト」舘野泉さんの卒寿を記念したコンサートが11月2日、サントリーホール(港区赤坂1)で開かれる。
舘野さんは1936(昭和11)年、目黒区自由が丘生まれ。1960(昭和35)年に東京芸術大学音楽学部ピアノ科を首席で卒業後、1964(昭和39)年からは日本とフィンランド・ヘルシンキを拠点に世界各地で演奏活動を行ってきた。
2002(平成14)年の公演中に脳いっ血で倒れ、右半身が不自由になるも「しなやかにその運命を受け止めた」という舘野さんは2年間のリハビリを経て、左手だけでピアノ曲を弾く「左手のピアニスト」として再起。そうした「舘野泉の左手」にささげられた作品は、これまでに10カ国の作曲家・130曲を超えるという。
演奏生活65周年、卒寿(数え年90歳)を迎えることを記念して開く今回の公演は、「左手の音楽」作品の中から「えりすぐり」のプログラムで構成する。
選曲について、舘野さんは「マグヌッソン作曲『アイスランドの風景』、ノルドグレン作曲『小泉八雲の「怪談」によるバラードII“振袖火事”“衝立の女”」などに、アルゼンチ出身の作曲家・エスカンデの『奔放なカプリッチョ』を加えた個性的なプログラム。どれも私のために書かれ、長年愛奏してきた作品ばかり」と話す。フィナーレを飾るプログラム「奔放なカプリッチョ~ピアノと管楽器のための」では、国内トップクラスの管楽器奏者7人との共演になるという。
「自由が丘で生まれ育ち、間もなく89歳。世界中をくまなく演奏して回ったが、静かで落ち着いた緑多いこの街こそが私の原点」と振り返る舘野さん。「これが引退ではなく、まだまだ来年の暮れまで演奏会の予定は決まっている。『弾ける間はいつまでも』と思っている」とも。
14時開演。料金は、S席=6,500円、シニアS席=6,000円、A席=5,000円、B席=4,000円、学生S席=3,250円、学生A席=2,500円、学生B席=2,000円。