国立劇場伝統芸能情報館(千代田区隼町、TEL 03-3265-7411)で2月6日より、人形浄瑠璃の企画展「阿波・淡路の人形浄瑠璃と文楽」展が開催されている。
同展は阿波・淡路の人形浄瑠璃と文楽の人形浄瑠璃を同時に展示し比較する企画展。大阪で発展した「文楽」が人形浄瑠璃の主流だが、「文楽」以外にもさまざまな人形浄瑠璃芝居が全国各地で行われており、同展では中でも盛んな徳島県や兵庫県淡路島に残る阿波・淡路の人形浄瑠璃を展示する。「『文楽』と阿波・淡路の人形浄瑠璃の比較を通して、『文楽』以外の人形浄瑠璃にも関心を持っていただきたい」と同展担当者。
阿波・淡路は江戸時代、徳島藩の所領であり、徳島藩主の蜂須賀家が人形浄瑠璃の芝居を行う人形座を保護したことから、人形浄瑠璃が発展。大阪の人形浄瑠璃と互いに影響を与え合いながら独自の発展を重ねた。
特に阿波・淡路では最も人気のある娯楽として、農民にも人形浄瑠璃が浸透し、農民たちが自分たちで人形座を結成し上演活動するほどに。そのため、常設の劇場ではなく屋外の農村舞台や臨時に設けられた小屋掛けの中で上演されることが多く、人形の構造自体も独自に発展。屋外で演じられることが多いことから、演出効果を高めるため「かしら」と呼ばれる頭の部分が大型化され、「文楽」のものよりふた回りほど大きくなったという。
同展では、阿波・淡路の人形浄瑠璃をメーンに、実際に阿波・淡路で使われていた人形・衣装・かしら約50点を展示。天下泰平・五穀豊穣を祈願する能楽の「翁」を元にした代表的な祝福芸である「三番叟(さんばそう)」で使用される阿波・淡路の人形「一番叟(千歳)」「二番叟(翁)」「三番叟」を展示するほか、能の演目でもある「敦盛」で使用される文楽人形「熊谷次郎直実」や浄瑠璃を題材とした鳥居清長の錦絵「牛若丸と浄瑠璃姫」なども展示する。
開催時間は10時~18時。入場無料。2月25日、3月18日、4月16日休館。5月24日まで。