明治記念館(港区元赤坂2)で4月10日、「2012年本屋大賞 発表会」が開催され、三浦しをんさんの『舟を編む』(光文社)が大賞に選ばれた。
全国書店員がその年で「いちばん売りたい本」を決める同賞。2004年から始まり今年で9回目。昨年は東川篤哉(ひがしかわとくや)さんの『謎解きはディナーのあとで』が受賞した。
大賞に選ばれた三浦さんは、2000年に『格闘する者に○(まる)』で作家デビュー。2006 年『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞を受賞。今回受賞した『舟を編む』は、出版社の営業部から辞書編集部に異動した主人公が、個性的な編集部の人物たちと新しい辞書『大渡海』を作り上げる姿を描いた長編小説。
授与式に登場した三浦さんは「辞書という一見難しそうな題材をできるだけ、分かりやすく興味をもってもらえるように書いた」と話す。執筆にあたっては、岩波書店や小学館など実際の出版社の辞書編集部を取材したほか、辞書の印刷を扱う印刷所や製紙会社なども訪れたという。
「たくさんの方にご協力いただいて今回の受賞につながった。とても感謝している」とも。
当日は「翻訳小説大賞」も発表。国内で発刊されたオリジナル翻訳小説の中から、フェルディナント・フォン・シーラッハ(酒寄進一さん訳)の『犯罪』(東京創元社)が受賞した。