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育子さんに聞く「第53回 赤坂をどり」-その魅力と託された想い

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■赤坂の街の人と共に盛り上げてきた「赤坂をどり」

――赤坂で芸者さんをはじめられてから55年ほどになるとお聞きしましたが、初めて赤坂をどりの舞台に立たれたのはいつ頃だったのでしょうか。

育子さん:私が故郷の熊本から上京してきたのが昭和39年で、その1年後の昭和40年でした。ですから、17回目の赤坂をどりが初舞台になりますね。当時は舞台の経験もあまりありませんでしたから、とても緊張していたんですよ。すると先輩の姐さんが『客席をお花畑だと思いなさい』と声をかけてくれたのです。たまに、緊張したらお客さんのことを『お芋だと思いなさい』と言いますでしょう。でもそれでは品がありませんから、客席のお花に水をあげるように踊るのです。そうすれば、一つひとつの演技が丁寧になりますし、心を込めて表現することができます。とてもいい言葉をいただいたと思いますよ。

――なるほど、すてきなエピソードですね。それからも数々の舞台を経験されたと思うのですが、こと赤坂をどりがこんなにも長く続いているのはどうしてなのでしょうか?

育子さん:それは、この赤坂という土地に理由があると思います。例えば赤坂の人って、誰かを喜ばせたり、一緒に楽しもうとする心を何より大事にしますよね。赤坂をどりも、そんな赤坂の街の人と共に“赤坂の文化”として毎回盛り上げてきたことが、今まで続いている理由だと思います。

日本の古典芸能を受け継ぎ、次の世代を育てていくきっかけにしたい

――確かに、赤坂は東京の中心地であるにもかかわらず、商店街も人と人とのつながりを大事にしている人や、みんなで街を盛り上げようといろいろなことにチャレンジしている人が多いように感じます。

育子さん:そうなんです。それに、赤坂の人は新しいものを怖がらない気質があると思います。ですから、私もこれからは赤坂をどりでいろんなことにチャレンジしていこうと考えているんですよ。

――それは楽しみですね!

育子さん:例えば、芸の道を志して大学や専門学校で勉強している学生さんたちがいるでしょう。でも、学生さんの中には卒業後に芸の道を諦めて、一生舞台に立てない人もいる。そんな学生さんに赤坂をどりの舞台に立ってもらうんです。もちろん時間はそんなに割いてあげられませんが、それがきっかけで舞台に立つことの面白さを再確認して、もう一度夢を追いかけようとするかもしれません。そうした新しい風をこの赤坂をどりにも取り入れていきたいと思っています。

――伝統を受け継ぐだけでなく、次世代を育てていこう、と。

育子さん:そうです。それに、もしかすると学生さんの芸を見に来たお友達が日本舞踊に興味を持って『自分も踊ってみたいな』と思うかもしれません。どんなことでもそうですが、やってみて自分に合わないと感じるかもしれないけれど、もしかしたらそれが自分の新しい人生につながるかもしれない。私もこの芸者生活で長年『何かにチャレンジすること』は常に大事にしています。特に若いころなんかはレーサーを目指そうと思っていた時期もあるんですよ。何事もやってみなければ始まらない。赤坂をどりが若い人たちにとって、そんな新しいことにチャレンジするきっかけになってくれるといいなと思っています。

――なるほど。では、最後に今回開催される『第53回 赤坂をどり』の見どころを教えていただけますか?

育子さん:今回の見どころは、なんといっても『咸臨太鼓(かんりんだいこ)』です。咸臨太鼓は、勝海舟が船出の時に『おーい! 船が出るぞー!』と出航の号令をかけながら叩いたものと言われています。その太鼓が実は赤坂の小学校に保管されていて、毎年赤坂小学校では5年生が卒業する6年生を送り出す時に使っているんです。今回はその太鼓を芸妓が叩きます。これは赤坂でしか見ることのできない演技です。それと、舞台では童謡や赤坂の“坂”を歌詞にした『赤坂 坂づくし』を披露しますので、赤坂に思い入れのある方はどなたでも楽しんでいただける内容になっています。赤坂の芸者にとって、赤坂をどりはお座敷と共に踊りが披露できる、いわば“命”のようなもの。赤坂芸妓の踊りを、ぜひ心行くまで堪能してください。

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「第53回 赤坂をどり」

公演日:2015年3月21日、22日

開演時間:11時30分~、15時30分~(※開場は開演の30分前)

場所:赤坂ACTシアター 東京都港区赤坂5-3-2

料金:S席=7,000円、A席=5,000円、B席=3,000円

主催:東京赤坂会赤坂をどり/TBS  後援:港区

お問い合わせ:チケットスペース 03-3234-9999

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