明治記念館(港区元赤坂2)で4月12日、「2011年本屋大賞 発表会」が開催され、東川篤哉(ひがしかわとくや)さんの『謎解きはディナーのあとで』(小学館)が大賞に選ばれた。
本屋大賞とは、「全国書店員が選んだ いちばん!売りたい本」がキャッチコピーの文学賞。全国の書店員の投票によって選出され、2004年から数えて今年で8回目の開催。昨年は冲方丁さんの『天地明察』が受賞した。
大賞に選ばれた東川さんは、2002年に『密室の鍵貸します』で作家デビュー。以後、本格ミステリー小説を書き続けてきた。今回受賞した『謎解きはディナーのあとで』は、主人公のお嬢様刑事とその執事が難事件の解決に挑戦するユーモアミステリー。「お嬢様の目は節穴でございますか?」「失礼ながらお嬢様――この程度の真相がお判りにならないとは、お嬢様はアホでいらっしゃいますか?」など、毒舌家の執事とのやりとりが魅力で、初版7000部だったのが、16刷・累計100万部発行され、ベストセラー作家の仲間入りを果たした。
「これまで賞とは無縁だった。今回、作者が思いもよらないところで大ヒットにつながったのは、書店員の皆さんのおかげ。自分は今日までずっと本格ミステリーを書いてきた。大賞を受賞した作品はユーモアも交えたミステリーなので、誰もが読みやすかったのかもしれない。これをきっかけに、ユーモアミステリーというものに注目してもらえれば」と受賞の喜びを語った。
2011年の本屋大賞にはその他に、貴志祐介さんの『悪の教典』、百田尚樹さんの『錨を上げよ』、夏川草介さんの『神様のカルテ2』、有川浩さんの『キケン』、『ストーリー・セラー』、梓崎優さんの『叫びと祈り』、奥泉光さんの『シューマンの指』、窪美澄さんの『ふがいない僕は空を見た』、森見登美彦さんの『ペンギン・ハイウェイ』が候補に挙がっていた。