国立国会図書館(千代田区永田町1)が4月21日から、ホームページ上で電子展示「ベストセラーの歩み-つくる側の視点から-」を公開している。
今年が国民読書年にあたることから決まった同企画。「ベストセラーは出版傾向や読書傾向を見る指標の一つとして注目を集めやすい。時代の風潮と合致してベストセラーが生まれるだけではなく、作る側の努力や戦略があって誕生したベストセラーも多々あり、それらが出版の歴史と重なっているところが興味深い」と同館の平岡章夫さん。ベストセラーという枠だとテーマが広すぎるため、出版社など「つくる側」に焦点を絞って構成した。
第1章はベストセラーという言葉がまだない明治時代から戦前のベストセラーに関して、第2章は「戦後復興とベストセラー」、第3章は「メディアミックス時代のベストセラー」を展示。「学問のすすめ」の異版(海賊版)や、大正時代にブームになった「円本」(一冊1円の全集)の新聞広告、それを批判した昭和期のジャーナリスト・宮武外骨の著書、「犬神家の一族」の映画と本を同時に宣伝したメディアミックスの走りである広告、郷ひろみ著書の「ダディ」の出版秘話など、ベストセラーそのものだけでなく、それらがどのようにして生み出され、世の中に影響をあたえたのかがうかがえる資料も同時に紹介している。
「今回の展示を通じ、ベストセラーだけでなく『本』『活字文化』そのものに関心を深めていただきたい。国立国会図書館の蔵書が、幅広い時代やジャンルを網羅していることも知っていただければ」(平岡さん)。
ホーム-ページで紹介した資料のうち、数点を5月20日~7月20日、同館でも展示する。