
企画展「安政大変! ~幕末の複合災害から学ぶ~」が現在、日本都市センター会館8階の「防災専門図書館」(千代田区平河町2、TEL 03-5216-8716)で行われている。
1956(昭和31)年7月6日開館した防災・災害に特化した同館。蔵書は約17万冊で、地震・洪水などの自然災害に加え、火災・公害・事故・戦災など人為災害も対象に資料を収集・公開している。
今回は「複合災害」に焦点を当てた常設型の企画展。令和6年能登半島地震から9カ月後に奥能登を豪雨が襲い、復旧が再び迫られた近年の状況を踏まえ、170年前の江戸時代に起きた「安政江戸地震」(1855年)と「安政江戸台風」(1856年)を複合災害の事例として取り上げる。さらに、その前年に発生した「安政東海・南海地震」(1854年)にも触れ、度重なる災害が幕末の社会・政治に与えた影響の流れを伝える。
展示は、エレベーターホールと廊下の掲示エリアを活用し、史料レプリカや解説パネルを展示。江戸の地盤や地形と被害の関係、高潮と長潮(長汐)・台風進路が重なる「悪条件の重なり」が被害を拡大させるメカニズムなどを、地図・年表・図版で直感的に紹介する。閲覧室では、複合災害の代表例を通史的に振り返るパネルと関連図書の展示も行う。
司書で学芸員の堀田弥生さんは「災害は単発ではなく、重なって起きるという前提で備える視点が重要。幕末の安政期は、地震と台風、津波や火災などが間隔を変えながら次々と重なった。歴史を手がかりに、現在の首都圏や各地域での対策を具体的に考えるきっかけにしてほしい。来場者特典として、瓦版『あんしん要石』を印刷したクリアファイルを進呈する」と来場を呼びかける。
開館時間は9時~17時。土曜・日曜・祝日・年末年始は休館。入館無料。2026年5月29日まで。