
国立国会図書館(千代田区永田町1、TEL 03-3581-2331)東京本館の「国立国会図書館ギャラリー」で現在、1945(昭和20)年の出版物をテーマにした展示「1945」が行われている。
1945年1月24日号の政府広報誌「写真週報」の表紙(提供=国立国会図書館)
東京本館の新館と本館の間に位置する同ギャラリー。季節や来館者に関心を持ってもらえそうな話題などをテーマに、20~30点ほどの資料を「ギャラリー展示」として企画。テーマごとに1~2カ月の短い展示期間で行っている。
今回の展示は、1945(昭和20)年に出版された本や雑誌を通して、戦時中から戦後の生活や社会の状況と、その変化を伝えることを目的に開く。展示担当者は「今年が終戦から80年という節目の年に当たることを念頭に企画した。戦争を経験した世代は減る一方だが、残された出版物から私たちは当時を知ることができる。1945年は社会が大きく変化し、出版物もそれに応じて変化する様子を伝えたいと考えた」と話す。
会場では、戦時中の資料を赤色、終戦後の資料を青として色分けして展示する。正面右手に設置する「戦時中のコーナー」では、1945年1月24日号の政府広報誌「写真週報」や同年3月発行の「大東亜戦美術 第2輯(しゅう)」の実物を展示する。
中央の展示では「週刊少國民」「少年倶楽部」「主婦の友」「婦人倶楽部」などの雑誌を展示。同少國民は、1945年6月24日号、同7月29日号、同9月29日号、同10月14号・21号の4点を展示し、戦前と戦後の変化が見られるよう工夫する。
このほか壁面展示では、1945年1月1日、同8月15日、同12月31日に読売新聞社が発行した「讀賣報知(よみうりほうち)」を拡大して掲出。手に取って見ることができる「複製のコーナー」では、アメリカ人のマナーを紹介する古い書籍のレプリカや米軍が投下したビラの複製などを置く。
同担当者は「1945年に出版された本や雑誌を通して、当時の社会のある一面を伝える展示となっている。戦時中の言説や生活の厳しさ、戦時中と戦後の出版物の違い、変化を受容していく戦後の社会の様子を出版物から感じてほしい」と話す。
開館時間は9時30分~19時(土曜は17時まで)。日曜と8月11日・20日は休館(9月以降は未定)。入館は満18歳以上で、利用者登録が必要。9月16日まで。