赤坂の地元企業・ホッピービバレッジ(港区赤坂2)が3月6日、創業110周年を迎えた。
1905(明治38)年に、餅菓子屋「五郎吉商店」として創業し、1948(昭和23)年にビアテイスト清涼飲料水「ホッピー」の販売を開始した同社。当時、ビールが高級品だったことから、街では焼酎をホッピーで割る独特の飲み方が生まれ、ビール代用品の焼酎割飲料として支持された。現在でも大衆居酒屋などでは定番の商品となっており、同社では、氷を使わずに、冷凍庫で凍らせたジョッキに冷やした甲類焼酎を入れ、ホッピーを注いで飲む「三冷」や、ホッピーと黒ホッピーを半分ずつ注ぐ「ハーフ&ハーフ」などの飲み方も推奨している。
「5年ほど前から、赤坂でホッピーを取り扱ってくださる飲食店さまが増えた」と同社広報担当の原知代さん。その要因の一つは、9年前から始めた新卒採用だった。新入社員は入社後1年間、赤坂周辺エリアの飲食店に飛び込みで訪問し、挨拶を兼ねて一軒一軒訪問をする。メーンとなるのは、トイレの掃除。「お手洗いを綺麗に磨くことは、自分の心磨きにも繋がる。飲食店さまの貴重な時間と場所をお借りして、学ばせていただいている」という。そのほか、同社のある赤坂2丁目エリアを中心とした“はしご酒”イベント「赤坂食べないと飲まナイト」の実行委員会を務めており、イベント後にホッピーを取り扱う店舗も増えた。
「これまで、ホッピービバレッジが赤坂にあることはあまり知られていなかった。地道な活動だが、これからも感謝の気持ちを込めて、地元企業として地域に根ざした活動を続けていきたい」と原さん。
創業者・石渡秀氏の孫娘である、同社社長の石渡美奈社長は「これもひとえに永きに渡り、ホッピーを愛し、育ててくださっている星の数ほどのホッピー応援団のみなさまのおかげ。今後とも創業の地、赤坂のお客さまをはじめ、全てのお客さまの幸せに貢献できるよう、社員と共に一分一秒精励したい」と話す。