株式会社LITALICO(本社:東京都目黒区、代表取締役社長:長谷川敦弥)が運営するLITALICO仕事ナビは、このたび全国の就労継続支援A型事業所(多機能型事業所含む)68事業所を対象に利用者のニーズや支援の実態に関するアンケート調査を実施しました。
利用者のニーズ (※):1位は「安定して通える場(約78%)」、次いで「将来の就職希望(約59%)」となり、
「居場所」としての機能と「キャリア形成」への期待の双方が求められていることが分かった。
事業所の提供価値:約66%が
「配慮がある人間関係」を事業所の特徴として挙げ、心理的安全性の高い環境づくりに注力している。
支援の課題: 雇用契約を結ぶA型ならではの課題として、約8割が「業務遂行力の差」や「勤怠安定の支援」への難しさを回答。
※ 事業所への調査により事業所が認識しているニーズ
「就労継続支援A型事業所(以下、A型事業所)」は、障害のある方へ働く機会を提供すると共に、一般企業などに就職するために必要な知識と能力を身につけるための支援を受けられる場として、重要な役割を担っています。一方で、「福祉的な居場所」や「一般就労への通過点」などの役割は多様化しており、利用者のニーズや各A型事業所の方針などによって異なっています。
今回LITALICO仕事ナビでは、A型事業所の現場の声を集め、その多様な役割と支援の実態を可視化しました。障害のある方とA型事業所とのより良いマッチングの一助となることを目指し、調査を実施しました。
1. 利用者が求めるのは「安定」か「ステップアップ」か。2つのニーズが共存
「利用者や家族が希望する「働く形」にはどのような傾向がありますか?(複数選択可)」という問いに対し、
最も多かった回答は「安定して通える場(53事業所/77.9%)」でした。
次いで「将来の就職希望(40事業所/58.8%)」と続きます。
この結果は、A型事業所に対して「安心して働き続けられる居場所」としての機能を求める部分と、「将来的な自立に向けた訓練の場」として期待する部分のどちらもあることを示しています。また、同一の利用者であっても「まずは安定して通いたい、その先にステップアップを目指したい」という段階的なニーズを持っていることが推察されます。
▼ 利用者や家族が希望する「働く形」の傾向(n=68、複数回答)
1位:安定して通える場(77.9%)
2位:将来の就職希望(58.8%)
3位:短時間・体調配慮あり(27.9%)
2. 就労継続を支えるのは「配慮がある人間関係」
利用者の「安定して働きたい」というニーズに対し、事業所側はどのような環境を提供しているのでしょうか。「事業所で提供している作業や職場環境の特徴」を聞いたところ、
「配慮がある人間関係」と45事業所が回答(66.2%)し最多となりました。
障害のある方の離職理由として「人間関係の悩み」が挙げられることが多い中、A型事業所ではスタッフや利用者同士の理解に基づいた「環境調整」が重視されており、これが就労継続の基盤となっていることが分かります。
▼ 事業所で提供している職場環境の特徴(n=68、複数回答)
1位:配慮がある人間関係(66.2%)
2位:柔軟な勤務形態(41.2%)
3位:通勤がしやすい場所(39.7%)
4位:短時間勤務(36.8%)
3. 現場の声:「雇用」と「福祉」の両立に向けた模索
A型事業所は、利用者と雇用契約を結びます。そのため、事業者として「福祉的な視点」と「生産活動を通した収入」をバランスよく保持することが求められます。アンケートの自由記述からは、利用者に最適な支援を模索する現場のリアルな声が寄せられました。
【事業所からの声(自由記述より一部を抜粋)】
- 「安定して働ける職場環境を作り、個々の作業能力に応じた作業を提供している」(石川県)
- 「希望する勤務時間に合わせシフトを組んでいる。時差出勤や週3回からの利用も可能」(宮崎県)「利用者の方一人ひとりと、デジタルツールを使った連絡やノート交換を行っている」(富山県)
- 「独自の商品開発を行っている」(北海道)
- 「日々の作業効率を、一人ひとりデータ管理している」(北海道)
- 「現在は仕事が難しい状態であっても、経験を積むことで仕事ができるようになる。時間はかかるが、合理的配慮の下であれば働ける方は相当存在することを知ってほしい」(福岡県)
これらの声からは、単に作業をこなすだけでなく、一人ひとりの特性(得意・不得意)を見極め、環境側を調整することによって能力を発揮する支援の様子がうかがえます。
今回の調査から、利用者にとっての就労継続支援A型事業所は「心理的安全性の高い居場所」でありながら、同時に「社会参加へのステップアップ」を目指す場でもあるという、多面的な役割を果たしていることが分かりました。「安定」と「ステップアップ」は相反するものではなく、
配慮のある環境(居場所)があるからこそ、次のステージへ挑戦できるという関係にあります。
一方で「一般就労への移行」に力を入れているのか、「長期的な安定就労」を重視しているのかなどといった方針は、各事業所によって異なります。重要なのは、
利用者の現在の状況やニーズに合う事業所はどこかというマッチングの視点です。
「LITALICO仕事ナビ」は、「障害のない社会をつくる」というビジョンの実現に向け、今後も自社・他社の調査にかかわらず、障害者雇用の現場にある課題やその解決策について社会に広く発信し、全ての企業や働く人と共に考えてまいります。
調査名:就労支援の取り組みと課題に関する調査【LITALICO仕事ナビ】
調査期間:2025年5月20日~2025年6月10日
調査対象:全国の就労支援事業所(就労移行支援、就労継続支援など)
回答数:338事業所
調査内容: 338事業所からの回答(内訳:就労継続支援B型225、就労継続支援A型68、就労移行支援51、 その他17/多機能型による重複含む)のうち、就労継続支援A型サービスを提供する68事業所に絞り込んで分析。
調査方法:インターネット調査
【LITALICO仕事ナビについて】
「
LITALICO仕事ナビ」は、障害のある方の「働く」を支援する就職情報サイトです。2018年3月のサービス開始以降、障害者雇用に特化した求人情報や、就職活動に役立つ記事、福祉事業所の情報などを提供しています。特に、合理的な配慮の項目を明記した求人が豊富で、障害のある方の就職・転職活動を強力にサポートしています。
【株式会社LITALICOについて】
LITALICOは、「障害のない社会をつくる」をビジョンに掲げ、発達障害ポータルサイト「LITALICO発達ナビ」、障害のある方の就職情報サイト「LITALICO仕事ナビ」のインターネットプラットフォームを軸に、障害分野で様々なサービスを提供しています。障害のある当事者向けサービスである、就労支援サービス「LITALICOワークス」及び、ソーシャルスキル&学習教室「LITALICOジュニア」に加え、障害のある子どもの家族向けライフプランニングサービス「LITALICOライフ」や業界全体の質向上に寄与する福祉施設向け業務支援サービスを展開しています。一般教育領域でもIT×ものづくり教室「LITALICOワンダー」を展開している他、学校現場の特別支援教育を支えるICTサービス「LITALICO教育ソフト」を提供しています。2016年3月に東証マザーズに上場、2017年3月に東証一部に市場変更、2022年4月にプライム市場に移行しました。