国立国会図書館(千代田区永田町1)は6月16日から、ホームページ上で電子展示「博覧会-近代技術の展示場」を始めた。
1851年、ロンドンにおいて世界で初めて開催された「万国博覧会」。同展示では、万博が初めて開催された19世紀にスポットをあてた。「博覧会全般を扱ったコンテンツはいろいろ存在するが、美術品など芸術面を取り上げるものが中心で、かなりの数が出品されていた機械製品にはほとんど焦点が当てられていなかった。そこで、出品された製品から垣間見える博覧会における産業・技術の歴史を追ってみることにした」と同館の科学技術・経済課の担当者。
第1部では、19世紀後半の主要な博覧会を年表で提示するほか、「明治の特許制度」などのコラムを用意。第2部では、「出展品からみる産業技術の発展」と題し、海外の万博に出展した機械類を「電信電話」「医療機器」など15ジャンルに分けて紹介。第3部では、「出展品からみる明治日本の産業」についてまとめた。
博覧会の報告書、当時の新聞、雑誌、復刻版資料76点、図版約740コマを掲載。現在も名所となっているパリのエッフェル塔や大阪の天王寺公園などが博覧会の施設だったことなども紹介する。
「科学や技術は突然、飛躍して発展するように見えるものだが、そこに至るには多くの技術者による発明・改良が重ねられている。過去を見つめ直すことで、技術開発の重要性を再認識していただければ」と同担当者。「上海万博で『万博』そのものに注目が集まっている今だからこそ、新たな万博の見方も提案できれば」とも。