国内のさまざまな分野において卓越した技術者を表彰する「現代の名工」が11月7日、厚生労働省より発表され、赤坂の高級料亭「赤坂 金龍」(港区赤坂3、TEL 03-3583-2033)の料理長・佐藤栄一さん(63)がこれを受賞した。
同制度は毎年全国から100~150人程度、多岐にわたる項目からその道の第一人者として活躍する技能者を選出し、その活躍をたたえるというもの。これに「赤坂 金龍」の料理長を務めながら社団法人日本料理研究会の師範でもある佐藤栄一さんが、今年度の受賞者として選ばれた。
佐藤さんは18歳の時から日本料理界に入り、2年前より同店の料理長として腕を振るってきた。「受賞が決まったと聞いた時には驚きが強かった」と佐藤さんは言う。
今回の受賞の背景には佐藤さんの優れた日本料理の技術に加え、その応用と新素材の活用による現代的な会席料理の技能が注目された。「フカヒレやフォアグラなどの食材を使うこともあるが、味付けはもちろん、盛り付けや器との配色などのバランスを考え、あくまで日本料理として調理し、お客様にお出しするようにしている」と佐藤さん。「ご予約をいただいたお客様は、性別だけでなく年齢や出身地など分かる範囲で事前に情報を聞き、それぞれに合ったメニューで料理を提供するよう心掛けている」と、日頃の仕事に対する姿勢を自ら語る。
また現在佐藤さんには若手の料理人が数名ついており、後継者の育成にも力を入れている。「若手には自分の仕事ぶりを見せ、一人前になった際に私から学んだ技術をふとした時に思い出してくれたら」と佐藤さん。
今後についても「昔覚えた技術を自分なりに活かしながらも、基本を忘れず、これからも日本料理に長く携わっていきたい」と話している。