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「AKASAKA ART WAVE」作家インタビュー2 美術作家・井上ひかりさん 工業製品を取り入れる

赤坂のTBS放送センター裏にある「南公園」周辺で3月13日から、屋外アートイベント「AKASAKA ART WAVE」が行われます。

かつて赤坂周辺が海岸線だったともいわれることから、「海」をモチーフに掲げる同イベント。会場となる南公園周辺を“波打ち際”に見立て、若手作家4組の屋外作品を点在展示します。

今回は、出展作家の一人として参加する美術作家・井上ひかりさんにインタビューを実施。展示作品の内容に加え、制作の背景や今回の展示に込めた思いなどを伺いました。

 


井上ひかりさん(撮影:HEARTY、群馬県高崎市)
 

家庭にある水を撒くホースを使って作品を表現

―――普段はどんな作品を制作しているんですか?
井上ひかりさん(以下井上):工業製品を主に使って、絵画作品を作っています。最近は、家庭にある水を撒くホースを扱うことが多いです。

―――工業製品を使い始めた理由は何ですか?
井上:「ものの質を表す」というより、もの自体をそのまま持ってきた方が、自分の作りたい欲求の速さに追いついてくれる感覚があって。以前はパネルにガラスなどを載せていたんですけど、支持体と物質の境目が気になってきたんです。

―――ホースにたどり着いたのは、その“境目”がきっかけですか?
井上:そうですね。ホースを編み込むことで、支持体でありながらメディウムとしても機能できるんじゃないかと思って、今の形につながりました。

―――廃材アートとは異なりますか?
井上:そうですね。廃材アートとは線を引きたくて。拾った材料ではなく、ホームセンターで「選んでここにある」ことが大事です。サステナブルの文脈とは一線を引きたい気持ちもあります。

―――ホースという素材の魅力はどこにありますか?
井上:艶があるものに惹かれがちで、原色も好きです。色がたくさんある、線の長さが出る、手に入りやすい。だから扱いやすいんですよね。ホースにこだわっているというより、今はホースでやれることがまだ残っている感覚があります。

 
撮影:三代宏大


ホースを使った高さ2×幅6メートルの作品を用意

―――今回の作品の見どころはどこですか?
井上:幅6メートル、高さ2メートルの作品になります。ホースが編み込まれて絵画として存在すると、近くでは「ホースだ」と分かる。けれど、離れると「絵」に見えたりして、またホースに戻ったりする。その“行き来”を体験してもらえたらと思っています。

―――テーマや意味は何かありますか?
井上:意味を込めるというより、「物質がそこにある状況」の方が重要です。見る人が海を感じたり、地図みたいに受け取ったり、いろいろあっていい。受け取り方は鑑賞者に委ねたいですね。


インタビューに応える井上ひかりさん
 

見え方の“揺れ”を楽しんでほしい

―――南公園(会場)の印象はどうでしたか?
井上:不思議な空間だなと思いました。滞留するというより通り抜けていく場所。でも、その“流れ”があることが、作品とも共通点があるのかもしれないと感じています。

―――最後に、メッセージをお願いします!
井上:近くで見たり、離れて見たりして、見え方が揺れるところを楽しんでもらえたらうれしいです。

―――井上さん、ありがとうございました!

井上さんを含む4組の屋外作品を楽しめる「AKASAKA ART WAVE」。各作品の近くには作家インタビュー動画も設置し、制作の背景や視点を手がかりに作品を味わうことができます。

会期中の3月19日(木)には、連動企画としてオンラインアート鑑賞プログラム「ZOOOOOM ART MUSEUM」特別編を配信。アーティストやキュレーター、プロデューサーがコンセプトや背景を語っていきます。

イベントは29日(日)まで。ふだん何気なく通っている街の風景に、少し違う“層”が見えてくるかもしれません。仕事帰りや週末の散歩がてら、立ち寄ってみては?

 

■井上ひかり(いのうえ・ひかり)
工業製品の“ツヤ”や形に惹かれ、ホースをメディウムに絵画を制作する美術作家。1999年、神奈川県生まれ。2024年、武蔵野美術大学大学院油絵コース修了。ここ数年はホースをメディウムに、支持体と一体化させて画面を制作。選んだ材料が「ここに存在している」ことを重視する。主な展示:「群馬青年ビエンナーレ2025」(2025年)、「ATAMI ART GRANT」(2024年)。

 

<開催概要>
「AKASAKA ART WAVE」
場所:TBS放送センター裏「南公園」周辺
日時:2026年3月13日(金)~29日(日)10:00~18:00
入場料:無料
アーティスト:井上修志、井上ひかり、柴田まお、松田将英
URL:http://akasaka-art.com/
Instagram:https://www.instagram.com/akasaka_art_wave/

オンラインアート鑑賞プログラム「ZOOOOOM ART MUSEUM」特別編(AKASAKA ART WAVE)
日時:2026年3月19日(木)19:00~20:00
登壇:井上ひかり、柴田まお、田尾圭一郎(キュレーター)、高山暢比古(プロデューサー)
料金:無料
配信: https://www.youtube.com/@AKASAKAARTWAVE

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