特集

「AKASAKA ART WAVE」作家インタビュー1 
美術作家・井上修志さん 廃材・瓦礫を作品に昇華

赤坂のTBS放送センター裏にある「南公園」周辺で3月13日から、屋外アートイベント「AKASAKA ART WAVE」が行われます。

かつて赤坂周辺が海岸線だったともいわれることから、「海」をモチーフに掲げる同イベント。会場となる南公園周辺を“波打ち際”に見立て、若手作家4組の屋外作品を点在展示します。

今回は、出展作家の一人として参加する美術作家・井上修志さんにインタビューを実施。展示作品の内容に加え、制作の背景や今回の展示に込めた思いなどを伺いました。

 
井上修志さん


廃材・瓦礫を組み合わせ、作品に昇華

 

―――普段はどんな作品を作っているのですか?
井上修志さん(以下井上):比較的大きなサイズの作品を手がけることが多いです。鑑賞者が回り込んで見たり、ひと目では全体を把握できなかったりする構成の作品が多く、展示も屋外がメイン。素材はコンクリートや土など地面に関わるものが中心ですが、廃材や瓦礫などの“残されたもの”を組み合わせるケースも多いです。

―――廃棄物や瓦礫に目を向けるようになったきっかけは?
井上:出身が宮城県石巻市で、東日本大震災を経験しました。津波で街が瓦礫になっていく光景を目の当たりにして、身の回りのものは当たり前にそこにあっても、いつでもゴミになり得るのだと強烈に感じました。

―――自然と人の関係についても関心がありますか?
井上:関心はありますね。地震や津波は人間の力ではどうしようもない出来事に見える一方で、人間が積み上げてきたものが自然に影響を与えることもあると思っています。そうしたパワーバランスが揺らいでいく感覚に興味があります。


井上修志さんが手がけた作品(撮影:若林勇人)

 


2.2メートル、テトラポッドの「型枠」を基にした作品

―――今回、どんな作品を展示するのか、教えてください!
井上:テトラポッドの「型枠」をベースにした作品です。高さは2.2メートルで、一番長いところは2.7メートルほどあります。少し見上げるサイズ感ですが、先端から覗き込むようにして楽しんでもらえたら。

―――「覗き込む」という行為で、どんなことを感じてほしいですか?
井上:工事現場の鉄骨や、ビルの中に入っている構造物のイメージと重ねています。内部に視線を入れることで、街そのものを覗き込む感覚や、「その中に何があるのか」を想像するきっかけになればいいなと。

―――覗き込むことで見えてくる“層”には、時間のスケールも含まれますか?
井上:そうですね。この場所の地面も、10年前・20年前とは違っていたかもしれないし、もっと長い時間で見れば、何万年、何億年も前は海だった可能性だってある。そんな時間の層を、覗き込む感覚で味わってもらえたらと思っています。

 


インタビューに応える井上修志さん


街を見る目線や考え方が変わるといい

―――会場となる赤坂ですが、これまで何か縁はありましたか?
井上:正直、馴染みがある場所というわけではありませんでした。来る前の印象だと「値段が高そう」というのが一番。実際に歩いてみて、いろんな人が行き交う場所だなと感じました。再開発が進んでいく感じも含めて、今後の展望が気になります。

―――最後に、メッセージをお願いします!
井上:“見なきゃいけないもの”ではないと思っています。ただ、普段触れられない感覚や、普段見ない風景が少しでも入り込んで、街を見る目線が変わったり、考え方が少し変わったりしたら面白いですね。

―――井上さん、ありがとうございました!

井上さんを含む4組の屋外作品を楽しめる「AKASAKA ART WAVE」。各作品の近くには作家インタビュー動画も設置し、制作の背景や視点を手がかりに作品を味わうことができます。

会期中の3月19日(木)には、連動企画としてオンラインアート鑑賞プログラム「ZOOOOOM ART MUSEUM」特別編を配信。アーティストやキュレーター、プロデューサーがコンセプトや背景を語っていきます。

イベントは29日(日)まで。ふだん何気なく通っている街の風景に、少し違う“層”が見えてくるかもしれません。仕事帰りや週末の散歩がてら、立ち寄ってみては?

 

■井上修志(いのうえ・しゅうじ)
東日本大震災の経験を起点に、崩壊と創造で変貌する風景へ目を向ける美術作家。1995年、宮城県生まれ。2021年、東京芸術大学美術修士取得。主な個展:「VS」(2025年)、「一周の螺旋は円にも見える」(2023年)。主なグループ展:「黄金町バザール2024」(2024年)、「万田坑芸術祭」(2023年)、「KAWAKYU ART Exhibition 2022」(2022年)。

 

<開催概要>
「AKASAKA ART WAVE」
場所:TBS放送センター裏「南公園」周辺
日時:2026年3月13日(金)~29日(日)10:00~18:00
入場料:無料
アーティスト:井上修志、井上ひかり、柴田まお、松田将英
URL:http://akasaka-art.com/
Instagram:https://www.instagram.com/akasaka_art_wave/

オンラインアート鑑賞プログラム「ZOOOOOM ART MUSEUM」特別編(AKASAKA ART WAVE)
日時:2026年3月19日(木)19:00~20:00
登壇:井上ひかり、柴田まお、田尾圭一郎(キュレーター)、高山暢比古(プロデューサー)
料金:無料
配信:https://www.youtube.com/@AKASAKAARTWAVE
 

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