読売広告社の「都市生活研究所」(港区赤坂5)が4月28日、「3・11震災後の住まい選び意識調査」を発表した。
住生活分野における各種調査研究活動を継続的に行っている同所は、震災1カ月後の時期に緊急調査を実施。調査対象は首都圏(東京、神奈川、千葉、埼玉)に住む30~50代の男女150人。ここ1年以内にマンション購入のための情報収集活動をしており、今後2年以内にマンション購入意欲がある人がアンケートに答えた。
アンケート項目の「東日本大震災はあなたの『住まいに対する考え方』に影響を与えましたか」の項目には、約9割の人が「大きく影響した」「やや影響した」と回答。
震災後「あなたの住宅購入意欲はどのように変化しましたか」の問いには、「変わらない」が49.7%で最多となり、「やや減退した」(36.0%)、「大きく減退した」(5.3%)を上回った。また、購入意欲が「高まった」人も10%いることが明らかになった。
この結果に、同所所長代理の柿沼裕之さんは「震災の被害を見て購入意欲が失われる人がもっと多いかと思っていた。高まる人はいないと考えていたので驚いている」と話す。調査の結果を踏まえ、「『高まった』と答えた人には、現住居の老朽化や耐震性能への不安、不満がもともとあったと思われる。それが震災をきっかけに顕在化したのでは」とも。
「今後、積極的に検討したいマンションの立地特性」については、「勤務先や子どもの学校に近いエリア」(64.7%)、「実家や親族宅に近いエリア」(60.7%)、「古くからの街並みが残るエリア」(50.0%)が上位を占めた。これらはいずれも、「震災前、検討したいと考えていた立地特性」でも挙げられていた項目だが、震災後は25%から30%もポイントを上げ、より多くの人が重視する結果に。「古くからの街並み」を挙げる人が上昇したことについては、「地盤がいいことに加えて、人とのつながりやネットワークに期待する人が多いのでは。震災で不安を感じた人々が絆を求めている」(柿沼さん)と分析する。