東京都は4月9日、福島県の震災被災者受け入れ施設となる旧グランドプリンスホテル赤坂(千代田区紀尾井町1)に避難者の移転を行った。
同ホテルはバブルの時代には「赤プリ」と呼ばれ、当時を象徴するホテルとして脚光を浴びた。しかし、開館から55年目となる今年の3月31日には、建物の老朽化を理由として閉館。その後は東京都との協議により、取り壊しが始まるまでの3カ月間、福島県の被災者受け入れ施設として活用されることになる。
東京都は移転対象者を「都営住宅などに当選しなかった福島県からの避難者で、国から避難指示などが出された地域(福島第一原発から30キロメートル圏内)以外からの避難者」及び「都が設置した一時避難施設(東京武道館、味の素スタジアム、東京ビックサイト)を利用している避難者」とし、最大でおよそ1600人を収容するとしている。
しかし、実際にこの日までに申し込みがあったのは138世帯、約360名ほどだという。その理由について、東京都の担当者は「福島第一原発より30キロメートル圏外を対象としたため、ホテルに入居するよりはと自宅に戻られた方が予想より多かった。今後は、せっかく提供頂いた施設でもあるので、希望者を随時募っていきたい」と話す。
施設は無料で利用できるが、食事やコインランドリーは有料での提供、トイレットペーパーや歯ブラシなどの生活必需品も避難者が各自で用意する。ホテルとしてのサービス機能はなく、あくまでも東京都が運営する「避難施設」としての利用となる。