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【エリア特集】2011-06-22

赤坂は「ベルギービール」の激戦区
その魅力と拡大の訳とは……?(後編)

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赤坂で「ベルギービール」が、なぜこの時代に、どのように広がっていったのか。その謎に迫ってみた。

女性一人でも入りやすいアットホーム空間-『BAR DECE

 オーセンティックというよりは、あまり堅苦しくない。カウンターBARではあるが、家に帰ってきたような暖かみが漂う。『BAR DECE』はそんな優しい雰囲気がある。「DECE(ディース)は、“品格のある”DECENT(ディーセント)のスラングで、転じて“肩肘を張らない・粋”という意味を込めています。開店は1997年。当時赤坂付近でベルギービールを扱っているのは『ボア・セレスト』と『シェ・ミカワ』くらいでした。もともと私は地ビールを扱うレストランでマネージャーを務めていて、その日に出来たビールをその日中に販売するクラフトビールに魅力を感じていました」と話すマスタ-の増田輝仁さん。ちょうどその頃、酒税法改正(2006年)が行われ、全国の地ビールマップを作ろうと声を上げたのが大手の小西酒造だった。増田さんはそこで初めてヒューガルデンを知り、自ら店を持つときはそれをメインに提供しようと決意した。

 ベルギービールについて種類の豊富さに加え、料理と一緒に楽しめることが魅力だと話す増田さん。同店の雰囲気にマッチした、アットホームな手作り感もベルギービールの良さだという。「カクテルをお作りするときも同じですが、カウンター越しにお客さんと会話をしながら、ストライクの好みを提供するように心がけています。女性だけでカウンターで飲まれる方も意外と多い。初めていらっしゃる方こそ、カウンター席に掛けていただいて、一緒に好みを探っていきたい。会話を楽しむ場としてもありたいと思っています。もちろん、お一人の時間も大事に」(増田さん)。

 同店ではベルギービール初心者には、1杯目にホワイトビールを提案している。さっぱりしていて多少のコクがあり飲みやすいからだ。客と相談しながらピッタリの1杯を提供するのがモットーだ。「例えば甘いビールと言われれば、シャンパンカクテルのような風味フのルーツビール『ミスティック・チェリー』を。ダーク系、色が薄めなどざっくりとしたカテゴリー提示をしていきます」(増田さん)。2000年に「Special Duvel Award」を受賞した『デュベル』や、白ビールの『ヴェデット・エクストラホワイト』は初心者でも飲みやすい。つまみは『炙りカラスミ大根』、ご飯は開店以来の人気看板メニュー『ガーリックオムライス』と相性が良い。

「まずは他店でベルギービールの良さを知ってもらい、「今夜はバーで飲みたい」という気分のときに『BAR DECE』を利用してもらえたら」と増田さんは語る。「ベルギービールをもっと知ってもらうことが大切。商品一つ一つに付随する歴史的背景や味わいを感じてもらいたい。日本のナショナルブランドとの差別化はそこにあるのだと思います」(増田さん)。

ワールドドラフトマスターの味を堪能-『ベルジアンビア・カフェ アントワープポート

 昨年、ビールサーブの技を競う大会「ステラ・アルトワ ワールドドラフトマスター2010」の日本大会で準優勝した、ジェネラルマネージャーの長沢篤さん。一通りビールに飲み慣れた人にこそ、ステップアップとしておしゃれなベルギービールへ移行してもらいたいという。「まずはベーシックで飲みやすい生ビール『ステラ・アルトワ』を。オールラウンダーでどんな料理にも合う万能タイプです。ステラがちょっと苦いと感じたら、『ヒューガルデン・ホワイト』を試してみてください。季節問わずおいしいビールですが、初夏を思わせる爽やかさが今時期にぴったりです。合わせるならムール貝などの魚介料理。2杯目以降、変わった味を試したくなったらチェリーの香りがする『ベルビュー・クリーク』などがいいかと思います。料理に合わせるというよりは単品で、お遊びビールとしておすすめします」(長沢さん)。ベルギー人客には、食前酒や食後のデザート、シェリー酒代わりに飲む人もいるという。

 ベルギービールの多くはフルーツやスパイスをふんだんに使っている。コリアンダーやオレンジピールを加える『ヒューガルデン・ホワイト』がその代表格で、同店では1缶30Lの生樽で提供している。「すぐ使い切らないと劣化してしまいリスクにもなりますが、当店は取り扱っている5種すべてサイクルが早いので、毎日フレッシュの状態で提供できます。ビール好きの方はそれを知っているので、全種類注文する方もいます。珍しいものやシャンパンテイストなど、リクエストをいただければ裏メニューもご提案します。フレンチに近いベルギー料理ともアレンジがしやすいのも、ベルギービールの特徴です」(長沢さん)。

 ベルギービール激戦について、「役割が各店違うので棲み分けは出来ている。赤坂=ベルギービールの街という位置づけになれば」と長沢さん。赤坂でベルギービールが発展した由縁は、駅ビルの発展により外資系企業が増加し、昔と比べてインターナショナル化が進んだことも関係していると予想する。「店舗が多ければ、ベルギービールの選択肢も増える。お客様それぞれの楽しみ方に合わせて楽しんでもらいたいですね」(長沢さん)。ベルギービールの認知度を高めることで、大人の街赤坂に活気が出てほしいと願う。





 
↑始めに注いだビールは一旦捨て、次にグラスを傾けながらこぼれるまで注ぐ。その後、専用ナイフで表面を整えてて完成。捨てるビールとこぼれた泡がもったいない気もするが、より新鮮な樽生ビールを提供するために必要なのだ。

食事を中心に楽しむ、地域住民のたまり場-『ルイ・プリマ

 赤坂見附駅エリアから少し離れ、赤坂駅と乃木坂駅のちょうど中間に位置する『ルイ・プリマ』。赤坂の中心地とはガラッと雰囲気が変わり、店周辺は昔ながらの民家など昭和の名残が現存する。客層の多くは周辺に住む地域住民だ。ディナータイムは30代~70代まで幅広く、映画人やミュージシャンらが多く集まる。「先日も、100歳近くの映画監督が誕生日パーティーを開いたんですよ」と話す、代表の髙山栄一郎さん。ホテルの料飲部を経て南麻布で飲食店を経営後、赤坂へ移転した。自慢の料理はボリューム満点で、しかもリーズナブルに提供するのがモットーだ。ドリンクよりも料理をメインに提供しており、ベルギービールはカクテル代わりに扱っているという。メニューは少々高めの1000円台からが多いが、量が大変多いので数人で等分すれば結局お手軽に済む。

 「ベルギービールはグラスが個性的で見て楽しめる」と髙山さん。ベルギービールのグラスで国産ビールを注文して雰囲気を堪能する常連客もいるそう。「『ビーケン』はハチミツの風味があって、肉料理や酸味の効いたオードブル向け。2杯目以降がベターです。『ドゥシャス・デ・ブルゴーニュ』は赤褐色のビールで、赤ワインのような味に好みが分かれるでしょう。ヒューガルデンやレフ・ブロンドに並んで、1杯目のビールとして人気なのが修道院ビール『オルバル』。ラベルや瓶の底に描かれた指輪には伝説があるんです。亡くなった夫の形見の指輪を湖に落とした妻が神様にお祈りして救いを求めたところ、湖底から一匹のマスが指輪を取ってきてくれたという話。これを機に誕生したのがオルバル修道院と伝えられています」(髙山さん)。

 長い歴史のあるベルギービールが爆発的にヒットしにくい理由として挙げられるのは、やはり価格の問題だ。「仕入れ側にとってもお客さん側にとっても、ベルギービールは値段が高い。そのため、なかなか普及は難しいかもしれませんね。ビール好きのお客さんは値を張ってでもたくさんの種類を試そうとしますが、若いお客さんは価格の面でメジャーなヒューガルデン1杯止まりということもある。大人の街、赤坂はもちろん、渋谷など若者の街でのベルギービール事情も気になります。ベルギービールの種類はまだまだたくさんあるのに、すごく残念でもったいない」(髙山さん)。より安く提供したいという思いは、赤坂のどのンベルギービール店も同じのようだ。

斬新なアプローチで若い世代を集客-『ベルギービール デリリウムカフェ レゼルブ

 100種類以上のベルギービールを取りそろえる『デリリウムカフェ レゼルブ』。そのうち樽生ビールは13種類あるが、ビールはベルギーから自社直輸入しているため、ここでしか飲めない銘柄もある。「客層は幅広くて20代前半~50代くらいまで。会社帰りの方よりは、当店にしかないビールを求めて来る20代前半~30代のお客さんが多いです。特に若い方は、ネットで調べてから興味を持ち、アルバイトの貯金で飲みに来るケースがほとんど。30代以上の方は元々ベルギービールが好きで、ご来店いただいています」と副店長の濱田貴之さん。ビール用の分厚いメニュー表の通り、業界でも取り扱う量の多さが強みだと断言する。同店では多いときに週1回ビール授業を開講し、スタッフはビールメニューをすべて覚える。

 赤坂のベルギービール事情に対し濱田さんは、元々の飲食店の多さに着目。オフィス街として人が行き交うエリアで、もっともお客が集まる店として確立していきたいと話す。「会社帰りに1杯飲んで、癒されて帰るのが習慣になってもらえるとすごくうれしいです。サラリーマンなら“アルコール中毒による幻覚症状”という意味を持つ『デリリウム・トレメンス』を。酔っぱらうと日本では星が見えてきたという表現をしますが、ベルギーではピンクのゾウが見えてきたと言います。当店の目印でもあるピンクのゾウは幻覚症状の象徴なんです。苦みもなくスイスイ飲めますが、アルコール度数はしっかり8%。それほど飲みやすくておいしいビールなんです。ラベルは段階を表していて、ピンクのゾウの次は踊っているワニ、最後に跳んでいる竜が見えてきたら泥酔状態なんです」(濱田さん)。前者が醸造10周年記念に作られたのが“夜の幻覚症状”という意味の黒ビール『デリリウム・ノクトルム』だ。『パウエル・クワック』は、見た目のインパクトが強い器が特徴的。もともとは馬車に付けるドリンクホルダー代わりで、本来グラスを木から外して飲むのが正しい。実際酔いが回るとグラスをスムーズに外せなくなるため、器ごと飲む人も大勢いるそうだ。

 他店にはない工夫として、月1~2回ベルギービールを取り入れたイベントも開催。ベルギービールを普及させるための新しい手段だ。「最近ではスタンディング形式でビールとブッフェスタイルの食事が楽しめる異業種交流会を行いました。ツイッターなどのネットワークを使った情報拡散やお客様とのコミュニケーションもしています。ベルギービール自体もあまり浸透されてはいないので、ベルギービールを知って興味を持っていただき、好きになってもらえるとうれしいです」(濱田さん)。

撮影/横井隼
問い合わせ先

ボア・セレスト 

電話番号=03-3588-6292

シェ・ミカワ 

電話番号=03-3583-5212

ビール&ダイニングレストラン カーニバル

電話番号=03-3583-2880

BAR DECE

電話番号=03-3505-7891

ベルジアンビア・カフェ アントワープポート

電話番号=03-3584ー3301

ルイ・プリマ

電話番号=03-3408-4066

デリリウムカフェ レゼルブ

電話番号=03-5545-7730

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